ドライルーツ式真空ポンプとは

ドライ真空ポンプとは、油や液体をガス管路や真空室内に用いない機械式の真空ポンプのことです。ドライ真空ポンプは液体を使用しないためミストの発生がなく、クリーンな真空状態が要求されるFPD製造や半導体製造の分野で使われています。

ドライ真空ポンプの1つに、ドライルーツ式真空ポンプがあります。ドライルーツ式真空ポンプは、ケーシングと呼ばれる箱の中に回転体(ロータ)が2つ入っている構造になっています。

2つのロータは一対のギアによって互いに反対方向に回転し、ロータどうしは接触することなくわずかなすき間を保ちながら回転することで、気体を圧縮していくしくみになっています。

 

ドライルーツ式真空ポンプの用途

ドライルーツ式真空ポンプは、真空乾燥用に使われます。オゾン層破壊の元凶とされるフロンやトリクロロエタンなどの塩素系有機溶剤を使用した蒸気洗浄はできなくなっているため、炭化水素系及び水系洗浄剤での部品洗浄が主流になっていますが、乾燥を促すために真空乾燥が行われるのです。

また、ドライルーツ式真空ポンプは、真空蒸留用に使われます。真空蒸留は、混合状態の物質を低温度で組成成分に分離することができますので、食品、薬品、ビタミン類製造設備など多用途にドライルーツ式真空ポンプが使用されています。

このほかに、ドライルーツ式真空ポンプは、野菜、肉などの生鮮食料品や精密部品、酸化防止部品などの真空パックにも使われています。