けい素とシリコンとシリコーン
A4000系と呼ばれるけい素系合金は、けい素(シリコン)が添加されたアルミ合金です。
まず、けい素がシリコンとイコールであること驚くかもしれません。
ただ、あのシリコンではありますが、一般的に思い浮かべるシリコン樹脂とは違います。
どういうことかというと、ひと言でいえばシリコンは自然界にあるもので、シリコン樹脂は作り出されたものであるという点で違うからです。
シリコン樹脂の元になるものがけい素(シリコン)といえばわかりやすいでしょうか。けい素(シリコン)は、元々自然界にある岩石・土壌の主成分としてあるもので、普通は酸素との化合物である二酸化ケイ素(シリカ)の形で存在しています。
ですから、ケイ素(シリコン)は、ケイ素(シリコン)樹脂=シリコーンの原料になる成分だということです。
この成分がアルミと合わさってできたものが「けい素系合金」ということが何となく理解できたでしょうか。
けい素系合金になると加わるメリットは、非熱処理型で他のアルミ合金よりも融点が低いために熱膨張率が抑えられ、耐熱性や耐摩耗性が高くなる点です。
そのため、溶接溶加材やろう材として使用され、鍛造ピストンや建材用パネル、溶接用心線としての用途が知られています。
A4000系と呼ばれるけい素系合金の代表として挙げられるのは、A4032があります。
けい素系合金の代表であるA4032とA4043
非熱処理型であるA4000系の代表的な合金として、例えば、耐摩耗性の高いA4032があります。
線膨張係数としては他のアルミ合金と比べて8割程度しかないため、耐熱性にも優れ、鍛造されてピストンなどで使われる材料です。
もう一つ、融温度が低いA4043は、溶接ワイヤー、ブレージングろう材として使用される材料になります。
けい素系合金全般の主な用途としては、スクロールコンプレッサー、ピストン、ベアリング、シリンダースリープ、溶接線などがある他、自然発色合金として、建築外装品にも利用されています。